NHK News Up 2017/02/01『直木賞作家 西加奈子 “私とテロ”』
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小説『i』のなかで主人公の少女は、世界中で起きたテロや事件、災害などの犠牲者や行方不明者の数をノートに記し続けます。
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「特に私は人の気持ちが考えられなかった人だったのでいつも被害者側にたって、加害者側をモンスター扱いにしていたんです。例えば、鹿を狩るライオンがいたら、鹿側にたってライオン側を悪としていたんです。でも、ある日、ライオンにも家族がいることを知ってしまう。知らない方が楽だったけれど、知らないといけないんです。ライオンがなぜ鹿を狩るのか。だから私は、後藤さんのことを考えます。そして、苦しいけれどISの戦闘員のことも考えなければいけないと思います」
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西さんは今回の取材の最後に、こう投げかけてくれました。
「シリアのこととか後藤さんのこと、世界のこと、日本のことでも何でもいいですけど。そのことを思うことや悼むこと、こころを寄せることは高潔な人だけに許されたことではないということを言いたいです。日々の生活にいっぱいいっぱいで、自分のことばかり考えてるなって思っていたとしても、自分が世界のことを思うなんておこがましいとか、誰かが亡くなっていることを悼む資格がないと思う必要はないと思うんですよね。悼む気持ちがあれば悼むし、苦しかったら、その苦しみを大切にしたい。大切にしてほしい。自分自身もそう思います。本当に言いたいことです」
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映画・原作 西加奈子 URL> https://moviesindex1.blogspot.jp/search/label/西加奈子